運動による効果
肥満の解消や、体力増強のために適度な運動は有効だといわれている。また、体の持久力を高めることにより、筋肉が長時間の運動を行うための力を備え、身体に十分な酸素を供給することができるようになると考えられている。
適度な運動には、基礎代謝を高める、生活習慣病を予防する、筋肉を維持する、心肺機能を高める、心身を若々しく保つといった有効性がある。しかし、無理な運動や苦痛を伴う運動は体や精神に悪い影響を与えてしまうこともあるので、無理なく楽しめるペースで行うのがよい。
ー期待できる効果ー
健康維持のためには、軽く息が弾むくらいの運動を、長時間にわたって定期的に行うことが大切である。運動を習慣化させることにより、全身持久力や筋力をつけておくと、糖や脂質の代謝の促進、骨量の維持、血行を正常化することが近年の免学的調査などからも明らかになっている。また、適度な運動量をこなし、体力を維持する力を優れているほど肥満や糖尿病、高血圧、心臓病、骨粗しょう症などにかかる割合や死亡率が低いことが明らかになっている。
ー目安とする運動負荷(心拍数)のおススメする計算式ー
目標心拍数={(220ー年齢)ー安静時の心拍数}× 運動負荷+安静時の心拍数 出典:カルボーネン法
参考)下記の年齢を45歳を想定した運動負荷の割合に対する心拍数
ー目安とする運動量ー
運動をすると、筋肉でブドウ糖や脂肪の利用が促進され、肥満を防止する効果がある。運動の初期には、エネルギー源として①筋肉に貯蔵されたグリコーゲンが消費され、ついで②血中ブドウ糖が消費される。さらに比較的負荷の軽い運動を継続すると、糖質とともに③血中の脂肪が徐々に利用されはじめ、15~20分以上経過すると④内臓周辺や皮下に蓄えられた脂肪が消費されるようになる。筋肉における脂肪の利用率はトレーニングを継続するに従い、次第に増加する。また、運動によりインスリン感受性が高まる。そのため、ブドウ糖の利用が促進され、血糖値を下げる効果が期待できる。 ウォーキングやジョキング、ラジオ体操などの有酸素運動を行うと、糖質と脂肪の両方がエネルギーとして利用されるため、血中のブドウ糖が消費される。その結果、血糖値が下がり、糖代謝が活発になる。
注)インシュリン感受性とは、ブドウ糖をどのくらい効率よく代謝できるかを示す指標のこと。
出典:日本医協協会(健康管理士一般指導員6.体を守る健康知識)
ー20分を超える自転車の活用法ー
自転車通勤
通勤は日々決まってルーチン化されているため、比較的継続的に運動として取り入れられる。
ママチャリやクロスBikeも利用可
室内自転車エルゴメーター
天候や時間に縛られることなく自宅またはトレーニングジムで継続的に運動ができる
休日のポタリング
まとまった時間で運動ができる
休日のロングライド
まとまった時間で運動ができる
体幹の鍛え方
はじめにピラティスの本質について
ピラティスは、「正しい運動で体を矯正すると、身体が正しく機能するようになり、身体的機能へとつながっていく」という考え方が土台になってます。ピラティスを行うと小さい筋肉が発達し、それが大きい筋肉の強化に役立ちます。そして、すべての筋肉が均一に発達させることにより、個々の筋肉が調和し、本来の働きを取り戻していきます。また、骨や筋肉の状態はどうか、関節の状態はどうか、呼吸の状態はどうかなど、一つ一つ問いかけながら行っていくことで「自分自身の体と対話をする」ことを重視します。そして、自分自身の体に何が起きているのかを感じ取りながら行うことが大切なのです。
ピラティスを続けることで、体幹を鍛え、姿勢が良くなり、そして無意識に正しい体の使い方ができるようになるために、健康へとつながっていくと考えられているのです。
体幹とは、
「体幹」とは、簡単にいえば体の中心で、この体幹にあるインナーマッスル(深層筋)のことを示しています。
・お腹の前から横を覆う「腹横筋」
・椎骨一つ一つをつなぐ「多裂筋」
・下部肋骨・胸骨・腰椎を結ぶ「横隔膜」
・恥骨と鼻骨をつなぐ「骨盤低筋群」
これらは腰や骨盤、背骨などを支える役割を担っている
出典:ほすぴ予防医学学術刊行物169号(発行成人病予防対策研究会)
◎腹横筋の鍛え方
姿勢
・床に仰向けで寝て、足を約90度に曲げる
・目線をおへそに向け、頭を起こす
動作
・お腹の中の空気を全部はき出すイメージで息をはく
└おへそを床に押し付けるイメージ
└息を全部はき終えるまでやる
・お腹を風船のように膨らます
反復回数
・初心者は3~5回/一日2~3回 慣れてきたら5~10回/一日2~3回
ポイント
・お腹をより強く引っ込めることを繰り返す
・同じ動作をやや横向きで行う
◎多裂筋の鍛え方
姿勢
・膝と手のひらをついて四つん這い
動作
・片足を後ろの伸ばし、伸ばした足の反対の手を前に伸ばし
└同じ動作を反対の足と手で行う
└なるだけ重心を前へ移動させる
反復回数
・初心者は5~10秒 慣れたら10~15秒/一日2~3回
ロングライドによる筋肉の変化
筋肉においてどれだけの酸素を血液から受け渡すことができるかについて
長距離トレーニングをすることで筋肉におけるa)毛細血管数の増加、b)ミトコンドリアの増加・機能向上、c)ミオグロビンの増加などが起こるため、筋肉への血液量が増加し、酸素の摂取効率が向上する
a)毛細血管の発達
ロングライドにより、筋肉では毛細血管が発達します。持久力的なトレーニングを行うと、筋細胞では酸素や栄養素などの必要量が高まり、より多くの血液供給を必要とする。このような状態に置かれると、筋肉では毛細血管網が発達するため、血管新生が起こる。血管新生は既存の血管から枝分かれするように新たな血管が形成されます。これにより、筋細胞が効率よく酸素を取り込むことができる。
b)ミトコンドリアの増加と機能向上
ロングライドなどの有酸素運動を行うと、筋細胞内のミトコンドリアの増加機能の向上が起こります。ミトコンドリアは、細胞の中にある小さな機関であり、酸素を用いて運動に必要なエネルギー源となる糖質や脂肪などの栄養素を分化し、臓器や筋肉などが働くためのエネルギー源でありATPという物質を産生する。
では、ミトコンドリアはどのように増えるのでしょうか?私たちの筋肉を使うとき、筋細胞でたくさんのATPが消費されます。次々に消費されると、筋細胞はエネルギー源の足りない餓死状態に陥り、すると、エネルギー源がないという非常事態を受けてミトコンドリアが増えるていく。
筋細胞の中のミトコンドリアが増えると、より多くのATPがつくられ、ATPを使って働く筋細胞は長時間疲れずに動き続けることができるようになる。
また、一流のアスリートではた、ATP分子をつくる反応の鍵を握るATP合成酸素の働きが、一般の人の約3倍高いことも報告されている。しかし、有酸素運動によって増加したミトコンドリアは、運動を定期的に行わないと元に戻ってしまう。
c)ミオグロビンの増加
筋肉組織中に存在するヘモグロビンに似た鉄を含むタンパク質です。ミオグロビンは、ヘモグロビンによって運ばれた酸素を筋肉中に貯蔵する役割を果たしているため、ミオグロビンの増加により酸素の供給能力が向上する。
<筋肉の機能向上による健康効果>
肥満を防止するためには、基礎代謝量を上げることが有効だといわれています。基礎代謝量とは安静にしていても体で使われるエネルギー量のことを指す。基礎代謝量が多いほど、運動しなくてもエネルギー消費量が確保されているため太りにくくなります。そして、基礎代謝量を決める重量な要素がミトコンドリアの量です。ロングライド(長距離)により筋肉が強化されることで、代謝のよい体づくりができるようになる。
ロングライド中に起こしやすい不調と必要な栄養素
<熱中症>
体内の成分が関与している水は、成人体重の55~60%を占めている。体内の水分は、体温調節以外にも全身の細胞に酸素や栄養素を運んだり、代謝反応でも必要であるため、不足するさまざまな症状を引き起こす。体重の2%以上の水分が減少すると、強い喉の渇きを感じ、8%以上の減少でめまいや呼吸数の増加、20%以上の減少で生命の維持することができなくなる。炎天下に限らずロングライド中に発散する水分の量は少なくなく、体温の上昇や熱中症を予防するためにも水分補給が大切である。
・喉の渇きを感じるはじめる前に補給する
・水分補給は1回100~200ml程度をこまめに摂取する
・真水より0.1~0.2%の食塩水が適している(スポーツドリングなど)
<貧血>
ロングライド中に考えられる貧血の要因は二つあり、①汗によって多くの鉄分が失われる、②トレーニングによって筋力量が増えると筋肉に対する鉄分の需要が増すことになり血液にまわる鉄分が減る。
これらにより、めまいや立ち眩み、むくみ、疲労感、集中力や記憶力の低下などの症状が現れる。
〇鉄分の多い食材とビタミンC
日ごろの食事で例えば、赤身の肉や魚、レバー、ほうれん草や小松菜、大豆などとビタミンCを一緒に取ることで吸収力がアップする。一方、コーヒーや紅茶、緑茶、ウーロン茶などに含まれるタンニンは、鉄分の吸収を妨げてしまう。よって、鉄分を取る前後1時間は摂取を避けた方がよい。また自分の体力を過信して。トレーニングをし過ぎないように気をつけることも大切。
<ハンガーノック>
ロングライドにわたる運動中に、急に力が抜けて動けなくなることをいう。肝臓や筋肉に蓄えられたエネルギー源であるグリコーゲンが不足した状態。いわゆる「ガス欠」状態です。足元がふらついたり、めまいがしたりするほか、手足がしびれたり、ひどいときは意識を失うこともある。
〇糖質をしっかり補給
軽度のハンガーノックならブドウ糖などの甘いものを取れば治りますが、休んでもエネルギーを摂取しても回復に時間がかかる場合があるので、予防が需要になります。ロングライドを走る場合は、天候にもよりますが、約20分に一度の給水と約30分の一口の捕食でエネルギーを補いながら走ることをお勧めします。
・糖質と脂質をバランスよく利用しよう
ロングライドにエネルギー源として利用されるのが、筋肉に蓄えられた糖質(グリコーゲン)と脂質です。グリコーゲンはエネルギーとしてすぐに利用できますが、体内に蓄えられる量が限られています。それに対して、脂肪は体脂肪として貯蔵できる量が多いため、長時間エネルギーをつくり続けることができます。糖質と脂質の利用比率は、軽い運動ではおよそ50%ずつですが、強度が高くなるにつれ糖質の利用比率が高まってきます。糖質の利用比率が高い状態では、すぐにエネルギー切れを起こしてしまう恐れがあるため、ロングライドを走る際はは、ゆっくり余裕のあるペースで糖質と脂質をバランスよく利用しながら走るとよい。代謝量を上げることが有効だといわれています。基礎代謝量とは安静にしていても体で使われるエネルギー量のことを指す。基礎代謝量が多いほど、運動しなくてもエネルギー消費量が確保されているため太りにくくなります。そして、基礎代謝量を決める重量な要素がミトコンドリアの量です。ロングライドにより筋肉が強化されることで、代謝のよい体づくりができるようになる。