KhodaaBloom「FARNA SL」インプレレポート

オープニング

あれこれ自転車競技関連に関わり48年、1988年ソウルのロードレースで25位のオリンピアンの鈴木光広(1963年生まれ)です。現在は202510月よりホダカ株式会社に所属し、これまでの地の利と経験を活かし、khodaabloomや企業ブランドの訴求に関わる業務に従事しています。

 

生まれ持った筋質は遅筋優位であるものの、勝負を決定づける最終局面で必要となるスプリント能力を鍛え上げ、数々の国内のタイトルを獲得してきた。また、ロードだけでなくトラック競技でも、ポイントレースや速度競争においてもタイトルを獲得してきました。ゴールスプリンターと言われる機会が多くありますが、自身は山岳においても引けを取らずマルチプレイヤーであったと思います。

 

職歴は、大手タイヤメーカーの関連会社で若き頃はクロモリフレームの製造でフレームの基礎を仕込まれ、1991選手を引退後から2023年までの43年間は、スポーツBIKEのマーケティングではブランドの育成を叩き込まれました。過去の産物としてneo-cotanchorとTeamなどの関わりから多くのことを学ばせていただきました。現在は運動生理学は生活習慣病に役立と信じ2021年に健康管理士一級一般指導員の資格を得して普及活動にも力を入れています。

今回のインプレッション記事は、レース中心の筆者のコメントを読者がどのように受け止めるのか?ジオメトリーから感じられるフィーリングはペダリングを含むライディングや戦法に大きく影響するため、筆者はフレーム素材よりジオメトリーに趣が高く様々なジオメトリーのフレームを体験してきました。

その経験値から今回FARNA SLから感じられるフィーリングを自信もって書いていきます。

ファーストインプレッション

今回インプレッションモデルは、FARNA SL Limited。筆者の身長170cmに対し、フレームサイズは465mmを選択した。
外観は、スポーティーな細身のストレートフォークと、やや角ばったフレーム形状は、FARNA SLにレーシングバイク的な印象を与える。しかし本モデルはレースカテゴリーではなく、エンデュランスに分類される点を理解しておく必要があった。

エンデュランスは、街乗りの快適性から峠を含む長距離まで幅広い用途を想定し、対象となるユーザーも幅広く評価すべきパラメータも多岐にわたる点がインプレッションとして奥が深い。

FARNA SLのデザイン面は、ウエアとのマッチングを意識したカラーリングが採用されており、ユーザーからの受容性は高いと考えられる。あえてコメントするならkhodaabloomロゴをやや小さくアクセント程度でもよかったのではとコメントしよう。

実機の確認では、サドル高とハンドル位置を調整しキャリパーブレーキ仕様の車体を持ち上げると9.2㎏、ディスクブレーキ仕様と比較すれば市場から聞いている通り超軽量に入る。期待を膨らませ初走行では、走り出し100mの段階で「接地感の軽さ」と「ハンドリングの安定性」が顕著に感じられた。タイヤは25Cチューブド、空気圧6.5bar94.3psi)。サドルからブレーキレバーまでのリーチは約40cmと短めであるにもかかわらず、挙動に不安定さはなく、むしろ予想外のスムーズさを示してくれた。

走行インプレッション

自社製品について否定的な意見を述べる人は少ないが、逆に自社製品を過度に称賛しても評価にはつながらず、むしろ読者から敬遠される可能性がある。そのため、どのように記述すべきか悩ましい部分はあるものの、むしろ本稿では脚色を排し、事実に基づいて記述することにして、読者に評価していただこうと思います。

FARNA SL Limitedに乗り出して100m。最初に感じたのは、アルミフレームは硬い25Cチューブドタイヤを6.5bar94.3psi)で使用すればさらに硬いという一般的な先入観を完全にくつがえす乗り心地であった。「座布団に座っているかのような快適性」は予想外であり、強い印象を受けた。次に、走り出してすぐの旋回で、急なコーナーを吸い込まれるようにクリアできた点にも驚かされた。この段階で、FARNA SL Limitedに対する興味が一気に高まったのは言うまでもない。

全体の挙動について述べる。白線上をトレースして走行した際、ハンドルに軽く手を添えるだけで大きく逸脱することなくラインを維持できた。この感覚は急コーナーでの挙動と同質であり、前輪が白線に沿って自然に導いてくれるような高い安心感があった。これにより、上半身・腕・手の緊張が解消され、「まっすぐ走らなければならない」というストレスが軽減される。その結果、危険回避のための周囲確認に意識を向けやすくなる。FARNA SLの大きな特徴は、この「安心」から導かれることによっての「安全性」にあると確信した。

推進力について触れる。よく使われる表現に「一踏みで二歩進むフレームやポジションがある」というものがあるが、FARNA SLはまさにその感覚に近い。踏んでも進まない車体とは異なり、一踏みで流れるように前へ進む。直進安定性が高いため、入力した力がロスなく推進力に変換されているように感じられる。また、巡航中の速度が足を止めても落ちにくく感じられる点も特徴であり、これもストレス軽減につながる要素といえる。FARNA SLはトレール約57㎜(ヘッドアングル72°/オフセット50㎜)「自転車技術研究所の著書でも掲載されているが、タイヤ大手メーカーの関連会社でも担当した元技術開発者も57-58㎜付近を推奨と語っていた」がふらつき感を抑えた安定性に、しっかり確保しているフロントセンター589.5㎜が推進力に影響しているのではないかと推測した。
また、トレール値は自分の感覚や求めたい乗り味を探ることが大切あって、正解はそのフレームや走り方とのマッチングなので時代と共に変化します。

ダンシングについては、登坂だけでなく信号の多い街角でのストップ&ゴーでも重要となる。FARNA SLは、一歩踏み込んだ際に車体がふらつきにくい構造であるため、ハンドルに体重を預けやすく、腰を上げて踏み込む際に左ペダルをキャッチしやすい。また、腕力の少ない女性や自転車に不慣れなユーザーでも安定性が比較的あるため安心してダンシングが行えると考える。このストップ&ゴーの動作は登坂時の動作と共通しており、特にクリップペダルを使用時にはハンドルに体重を預けやすく、ペダルの引き上げ動作も行いやすくなる。(動作の参考としては、UCIワールドツアーのトップライダーのダンシング動画が有用である。)ペダルを踏む動作だけのクリップレスペダルにおいても同様に、ハンドルがふらつきにくいことからスムーズなペダリングが実現できます。

コーナリングについては、苦手意識を持つユーザーが多く、「怖い」という感情の背景には「先が見えない」「対向車が不安」「滑るかもしれない」「操作方法が分からない」など複数の要因が存在する。まず前提として、FARNA SLの車体が安心感を提供できる構造であるかが最重要である。また高速域で発生するフレームと路面振動から起こる共振は、ヘッド部周りを強化しているため発生しにくくしています。前編でも述べた通り安定性がワンランク上の安心感を提供しています。さらに、次に述べる推奨するポジションを習得すれば、コーナーはより安全かつ安定して下れるようになる。 ブレーキレバーを握る腕の肘を伸ばし切り、サドル後端に座りつつ大腿でサドル中央部を挟み込む。 コーナー手前で十分に減速し、コーナー進入後は後ろブレーキでコントロールする。

 

急制動においてもの姿勢を維持しつつ、制動力の高い前ブレーキを主体にしたブレーキングすること。最も重要なポイントは、肘を曲げず伸ばし切る姿勢である。いずれにせよ、これらの動作は慣れが必要であり、安全が確保できる環境で繰り返し練習することを推奨する。

スペックに関して

部品構成の大部分はシマノパーツで構成されており、この点について特筆すべき問題はない。ここで述べたいのは、前編のファーストインプレッションでも触れた「座布団に座っているかのような乗り心地」である。

POWERCOMPからFARNA SLオリジナルサドルへ腰を下ろした際、直前まで70kmにわたり硬めのPOWERCOMPサドルに座っていたことも影響しているのか、柔らかく座布団を敷いたような感覚に驚かされた。そこから30km走行したが、快適性は終始高く維持されていたと記憶している。

このオリジナルサドルの特徴として、ロングノーズのため上からの負荷に対し下へスイングししなやかさを生み出している点が挙げられる。またセンター部分に凹の溝が刻まれており恥骨を圧迫から抑えてくれる。そのため股を快適にしてくれていると思われる。さらに、チェーンステーが逆楕円形に扁平加工されており、この部分がフレーム全体のしなり特性を引き出していると考えられる。このしなやかさは、単なる快適性にとどまらず、走行フィール全体に影響を与える重要な要素であると感じた。

総評

FARNA SL1のインプレッションを総括なります。走った距離は上尾から越谷までの30㎞を通勤ライドで、加えて休日のライドを合わせ総距離450㎞になりました。基本パーツからの変更したハンドルポスト長を110㎜へ付け替え、巡航速度をだいたい3035/hをキープしながらFARNA SLのフィーリングを試しました。

FARNA SLは、推奨値のトレールと長めのフロントセンターが走行安定性を確保し、直進と旋回時のコントロール性が高いマシンである。そのため走行中に生じる「不安感」を「安心感」へと転換し、その「安心感」が危険予知などの安全な操作を支える。重要な特性であると考えられる。

結果として、初心者からレースを楽しむエントリーユーザーまで、幅広い層を満足させる完成度を備えていることを、実走を通じて確認できた。

2026420日、FARNA SL1はバイシクル・オブ・ザ・イヤー2026において「ファーストロードバイク賞」を受賞した。ジャーナリストおよび選考委員による判断は、的確かつ適正であったと改めて感じることができました。

 

実のところFARNA SLに対して強い違和感がなかった理由の一つは、筆者自身の過去の経験と深く関係していた。1988年、ブリヂストン製レイダックカーボンを使用してソウルオリンピックに出場し、25位という結果を残したが、FARNA SL1のジオメトリーは当時使用していたフレームと全く同一であったことが判明しました。時代を越えてなお、このジオメトリーが高く評価され続けていることに深い感銘を受けました。